【仕立屋の自由研究】洋服のルーツを探る〜ズボンの始まり

【仕立屋の自由研究】洋服のルーツを探る〜ズボンの始まり

仕立てスーツの日本における歴史から、そもそもの洋服のルーツに視野を広げてみたら… 軍装の歴史に行き着いた。 「装い」は恐らく、宗教的な祭祀の装束と、国土を確保するための戦いの装備と、日常着のための必要から発達したのに違いない。 そして、どうやら「実用性」の観点から、戦うための装束が(男性の)日常着に大きな影響を及ぼしたようだ。 面白いことに、今日ファッションをリードするヨーロッパが洋服の起源を切り拓いたわけではなかった。 一対一の戦闘と肉体美を重視したギリシャ・ローマでは、そもそも肉体を覆う発想がなかった。 映画等でも見られるように、ギリシャ・ローマ時代の戦士はほぼ裸身。 胸当てや脛当ては装着しても、下半身はノーガードであったらしい。 一方、ペルシャなど東方の国々は、騎乗を基本とした。 騎乗のための実用着として中東文明に初めて長ズボンを導入したのだそう。 身体をぴったり覆う機動性に富むものが好まれた。 そのルーツとも言えるのが、古代アナトリア(現在のトルコ)中西部の王国フリギアの装束ではないだろうか。 画像は、ウィキメディア・コモンズより引用。 フリギア人の衣装。 J・アンダーソン・ブラックの『ファッションの歴史』では、「ペルシャ人こそ最初の仕立屋」とされている。

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