スーツの着こなし〜「パツパツ」と「細見」の違いについて」

スーツの着こなし〜「パツパツ」と「細見」の違いについて」

先日、友人の営業マンの方からちょっとしたお悩み(嘆き)を聞かされました。
初めて会社で表彰されることになったSさん。

晴れ舞台のために、気合を入れてブランドものの細身のスーツを購入し、コーディネートされたそうです。

同僚からは、「お! 新しいスーツで気合い入れたな!」

と言われたそうです。けれどそれだけ。

カッコイイとか、スゲエとか何らかの賞賛を期待していたSさんでしたが、

賞賛の言葉はありませんでした。
女性スタッフからも、ノーコメント。

 

「あら???  なんで???」 「なんか言ってよ〜〜〜;;;」

かなり、テンション下がった状態で表彰式に臨まれたとのことで…
晴れの舞台の思い出が今ひとつとなってしまったと話されていました。

 

「高いブランドのものなら間違いないと思っていた」

Sさんのコメントです。

お話を聞いていくうちに、こんなこともわかりました。

かつて見たり聞いたりした「カッコイイ」イメージを

アップデートしていない

これは、誰もがやってしまいがちなことです。

が、人の目は誤魔化せない。。。

スーツが好きで、一家言ある人には一目瞭然で見破られますし
スーツに思い入れが特にない、別になんとも思っていない人達にも

 

見えてしまうもの
感じてしまうもの

 

があります。

今日的な見えてしまうものの代表格が、

「スーツ パツパツ」です。

友人のSさんは、かつての野球少年で

胸板厚く二の腕太くて
ヒップも太もももかなり張っている

 

元来はスポーツマン体型

に加えて

野球をしなくなってからは、
下腹もポッコリし始めてきたとのこと(ご本人談)

その体型で細身のスーツを着たら

残念ながら、「スーツ パツパツ」の見た目になってしまいます。

この様子・・・

一言で言うなら、

「痛い」 です。

細身のスーツでキメたつもりが

「スーツ パツパツ」になってしまった・・・

 

今日は、「パツパツ」と「細身」の違いについてお話ししますね。

1.  細身のスーツの見られ方

2.  細身のスーツの利点

3.  細身のスーツの損なところ

4.  細身なのかパツパツなのか

5.  4つのチェックポイント

6.  まとめ

 

 

1.  細身のスーツの見られ方

細身のスーツは、シュッとしてスタイリッシュな印象があります。

見られ方としては;

おじさんくさくない

都会的

洗練されている

知的

など、好感度の高い見られ方をします。

 

2.   細身のスーツの利点

・スタイリッシュな印象

細身のスーツは、全身を引き締まってスッキリした印象に見せることができます。

着やせ効果◎で、ダイエットしなくてもスマートに見えます。

・見た目を若くする

細身のスーツは縦長に見えるので、若々しい印象を作ることができます。

「おじさんくさくない」見た目は、大きなアドバンテージですよね!

 

3.   細身のスーツの損なところ

・「頑張ってる」感
本当の体型と「細身」のギャップ
実年齢と「若づくり」の違和感が出てしまうと、NGです。
・「軽い」印象
貫禄、威厳、権威を演出できない場合があります。

 

4.   細身なのかパツパツなのか

2000年代後半から2010年代前半はピタピタのスーツがカッコイイとされていました。
あらゆる年代の多くの人が、幅の狭い(例:6cm)襟に象徴される”極細”のスーツに身を包みました。

 

画像:Pinterestより


オーダーでは、日常のカラダの動きを考慮して実寸に「ゆとり」をプラスして型紙を作ってお仕立ていたします。当時は、「ゆとりをなくしてほしい」と言うリクエストを沢山いただきました。弊社では、当時も最低限のカラダの動きを阻害しないサイジングでお仕立てさせて頂きました。

細身なのかパツパツなのか

これは、一言で言うなら

自由に動けるか動けないか

です。

ストレッチ素材ならイイじゃん

と思われるかもしれません。

しかし、たとえストレッチ素材であっても「パツパツ」は可動域を大幅に制限します。

 

2000年代後半から2010年代前半にカッコイイと憧れたピタピタのスーツ
パリコレクションやミラノコレクションの映像をメディアなどで目にされている方もいらっしゃると思います。

当時のコレクションでも

ピタピタのスーツを纏ったスレンダーなモデル達は、

ランウェイを華麗に、縦横無尽に動き回っていましたよね。

つまり、

「自由に動ける」スーツだった

と言うこと。

カラダの動きを阻害しないサイジングで作られた服だったわけです。

つまりカラダ合わせた服。

しかし、「カラダ合わせて」しまうと

 

決して着心地は良くない(と言うか、むしろ悪い)。
何しろ動けない。

着ていると肩がこる、疲れる。お洋服の劣化も早い。

「これは違う」とみんなが感じ始めた頃、偶然か必然か・・・欧米のコレクションでビッグシルエットのお洋服が台頭してきました。

 

画像:Pinterestより


とは言え、一気呵成にここまではとがれない・・・と思います。


では、まず美しい「細身」のスーツはどうやって実現するか?
チェックしてみましょう。

 

5.  4つのチェックポイント

「パツパツ」の痛い状態にならないために、4つのポイントでチェックしましょう。

チェックポイント① バスト・中胴
バストは胸囲、中胴は肋骨の下あたり (二つボタンスーツの第一ボタンあたり) の胴周りです。
・スーツのVゾーンがパックリ開かない
・第一ボタンを閉めた時に、横ジワや放射線状のシワが入らない
・背中側に、張りや横ジワが入らない
 
二つボタンのジャケットは、座っている時ボタンを開け、立っている時は第一ボタンだけ閉めます。
・第一ボタンだけを閉めた時に、スーツの裾が「ハの字」に開かない
 
第一ボタンを閉めて拳半分〜一つ分くらいのゆとりが理想です。

 

チェックポイント②着丈(ジャケットの長さ)
ん? ジャケットの丈? パツパツと関係あるの? と思われるかも知れませんが、
ジャケットが短すぎても、窮屈感が出てしまいます。
そして…お尻がバーンと出ていると、やはり「痛い」感じ・・・。
昔は、短いものが流行っていました。
でも、今は長めです。
・最低でもお尻が3/4は隠れる長さにしましょう。

 

チェックポイント③ワタリ(太もも付け根回り)
弊社スタッフ「これじゃ座れませんよ」

お客様「いいんです。座れなくても」

昔はこんな会話がありました。やっぱり、ダメですよね。
スキニージーンズの感覚で行くと失敗します。

・お尻が食い込む
・ももに張り付いてくる
・ウエスト、お尻、ももに横ジワが入る
 
ボンレスハム状態(座ったらもも脇の縫い目が裂けそうなもの)は、完全NGです。

 

チェックポイント④ふくらはぎと裾回り
男性のスーツの場合、短すぎる丈も「痛い」です。靴が巨大に見えてカッコ悪しです。

・短くても、くるぶしが隠れるくらい。
・ノーマル丈なら、靴を履いてパンツの裾にハーフクッション〜1クッション入るくらいが良いです。
・椅子から立つ時パンツがふくらはぎに引っかかって上がりっぱなしにならない

裾回りが細すぎると、立ち上がった時にパンツがすんなり落ちません。裾回りの寸法は、ふくらはぎ回りの1/2までにとどめましょう。

 

6.  まとめ
 
いかがでしたか。
「細身」と「パツパツ」は
別モノであることを、ご理解頂けましたでしょうか。
 
前項の4つのポイントをチェックすれば、
 
カラダを自由に動かせる
 
「パツパツ」ではない
 
美しい細身のスーツ
を実現出来ます。
 
これからスーツをお買い求めになられるのでしたら、
最先端のビッグシルエット
をほんの少しとり入れた
新しい感覚の細身のスーツをお選びになられてはいかがでしょうか?

 

ページ上部へ