今だから見直したい正統派「カッコいいスーツ」

今だから見直したい正統派「カッコいいスーツ」

コロナ禍で働くスタイルが大きく変化しました。オンラインやリモートを活用した働き方には賛否両論ありますが、合理性をポジティブに活用したいと思っています。時間や距離の制限なく世界中の人と瞬時に繋がることができる、働きやすい場所で仕事をすることができる、移動にかけていた時間を他のことに使える等々。歓迎すべき仕事と生活の質の変化が沢山あります。スーツ屋としては、正直なところこの2年間はドキドキする変化が次々に起こっていますが(笑)。しかしながら、「変化」は世の常です。例えば、徒歩の旅は馬車の旅になり、自動車・列車・船舶の旅になり、飛行機、ひいては宇宙の旅になりました。

1872年11月12日も大きな変化の日でした。公家風・武家風の和服礼装が廃止され「礼服ニハ洋服ヲ採用ス」という太政官布告(政府の公式文書の発布)が出されました。



和装から洋装へ

 

昨今の業界の悩みのタネ「スーツからジャージへ」と言ったカジュアル化などとは

 

比べものにならない大変化、青天の霹靂です。

 

「青天」と言えば、「青天を衝け」

今年はNHK大河ドラマを見てるよ〜と言う方も多いようです。

ちょうど洋服が市民権を得た時代背景が描かれています。

吉沢亮さん演じる渋沢栄一ほか登場人物が着こなす当時の洋服姿

カッコいいな〜と思われませんか?

なんでカッコいいんだろう?

これは、数年来女性誌やインターネットの記事などで調査・論評されてきた事柄と一致しているように思います。

 

「カッコよさは不変」(変わらない)

「カッコよさは普遍」(すべての物事に当てはまる)

 

スーツのカッコよさの理由は以下のように言われています;

 

・仕事がデキる男に見える
・大人の男の色っぽさを感じる

・信頼できる雰囲気
・普段とのギャップがカッコよく見える
・知的な雰囲気

・紳士的に見える
・清潔感を感じる

 

これらをふまえた上で、昨今の傾向を見てみると・・・

パジャマスーツの大流行

 

パジャマのままスーツに見える

起き抜けのままで会議に出れる

 

スーツ屋の私としても

なんて便利!これでいいじゃん!と、思います。

 

が、流行モノのパラドックス

 

ここまで流行ると、パジャマスーツを着たあなたは

「あ! パジャマスーツだ!」

「それパジャマだよね」

と即バレてしまう…・

 

社外のビジネスミーティングだとしたら、

「パジャマで商談に来たのね」という評価になります。

 

パジャマとしては着用していないかもしれないので、

「いえいえ、楽なのでビジネスに着ているんです」という理由があるかも知れません。

 

ここで問いたい

 

この

 

便利・楽・「いいじゃん」て、

とっても自分目線

言い換えると「甘え」の理由づけ

 

オンラインだから

細かいところは見えない(だろう)


家からなんだから

許してもらえる(だろう)


古臭く聞こえるかも知れませんが、
オンライン・リモートであることをこれ幸いと、相手への敬意は眼中にない感じ…。

まあ、言葉を選ばずに言うなら

この仕事スタイル・仕事への向き合い方って「カッコよくない」

 

「合わせ鏡の法則」と言うのを聞くことはありませんか?

相手のやり方の通りに自分も振る舞うし、

自分の振る舞った通りに、相手も同じような振る舞いをする現象

 

「パジャマのままでいっか」と言う仕事スタイルは、

その程度の結果しか得られないと言うことになります。

 

パジャマで 

・仕事がデキる男に見える
・大人の男の色っぽさを感じる

・信頼できる雰囲気
・普段とのギャップがカッコよく見える
・知的な雰囲気

・紳士的に見える
・清潔感を感じる

と言う演出ができるのかな…? と強く疑問を持っている次第です。

前置きが長くなりましたが、

今日は改めて「王道のスーツの着こなし」についてご紹介します。

 

  1. ジャケットの一番下のボタンは留めない
  2. ジャケットの外ポケットにモノを入れない
  3. ジャケットの襟はカラダにフィットさせる
  4. ジャケットの袖口からはワイシャツの袖を見せる
  5. ジャケットのゆとりは手の平の厚みのゆとりで
  6. Yシャツの襟はジャケットの襟の中に隠して
  7. パンツの裾のクッションはノークッション〜ハーフ〜ワンクッション
  8. パンツのセンター線はピシッと
  9. ネクタイの結び目にはディンプルを
  10. ネクタイの長さはベルトが半分隠れるくらい

 

1.ジャケットの一番下のボタンは留めない

これは伝統的な厳しいルールと言っていいでしょう。立っているときは一番下のボタンを留めない。腰掛けたら留めていた上のボタンも外す。
この所作をカッコよくできたら、「大人の男の魅力」がジワッと伝わります。

 

2.ジャケットの外ポケットにモノを入れない

ポケットにモノを詰め込むと型崩れの原因になりますし、見た目がショボくなります。ペンやお財布は内ポケットに入れるようにしますが、原則あまり入れない方がスーツをカッコよく着こなすためにはベターです。
スマートな印象づくりと、スーツを永く大切に着ると言う二つの観点からポケットにはモノを入れない習慣を作りましょう。

 

3.ジャケットの襟はカラダにフィットさせる

前から見た時だけでなく、後ろ姿もジャケットのシルエットがしっくりカラダにフィットしている状態が大切です。フィットしていないと余分なシワが背中部分に出てしまい、カッコ良さが半減してしまいます。自分では見えないので、注意が必要です。
代表的なシワは、怒り肩の場合でジャケットが外側に引っ張られて襟の下の部分に出る「ツキ」と言う大きなシワです。
撫で肩・怒り肩など、既製服をお求めになる時でも体型にあったジャケットをお選び頂くことがポイントです。

弊社では、とても大切な採寸ポイントとなります。

4.ジャケットの袖口からはワイシャツの袖を見せる

これはスーツの袖口が痛まないようにするということが大前提ですが、もちろん見た目の良さも大きな理由です。伝統的には、シャツが袖口からでる長さも決まっており「1.0cm〜1.5cm』シャツを見せるとなっています。
昨今は、もう少し多めにシャツを見せるのがカッコいい!と言う傾向があります。

5.ジャケットのゆとりは手の平の厚みのゆとりで

ジャケットの中胴(バストからウエストにかけての胴回り)に適正な余裕を持たせるのが、スーツをカッコよく着こなすためのルールになります。かつては握りこぶしが入るぐらいの隙間が必要、と言われましたが、昨今は、手の平くらいの厚みのゆとりがカッコいいとされています。

6.Yシャツの襟はジャケットの襟の中に隠して

こちらも鉄則の一つです。小さい襟や丸い襟、ボタンダウンなどもありますが、ジャケットの襟に隠れないほど大きなワイシャツの襟は、NGです。

ボタンダウンはフォーマルでは着用をしないなどの点も、カッコいい大人のマナーとしてしっかり押さえておきたいところです。

7.パンツの裾のクッションはノークッション〜ハーフ〜ワンクッション

靴に触れて折れたパンツの裾をクッションといいます。

昨今のトレンドは、ノークッションかわずかに折れるハーフクッションです。ノークッションの場合は、裾先が靴にわずかに触れる程度となります。

8.パンツのセンター線はピシッと

パンツの前と後ろにつけられた折り目(センタープレス)がしっかり見えるようにしておきましょう。雨や汗などで消えてしまう場合もあるので、「シロセット加工」と言うセンター線の消えない加工をしておかれると便利です。弊社ではお誂えの際に承っております。

 

9.ネクタイの結び目にはディンプルを

ネクタイの結び目の下には、立体感を出すためにくぼみ(ディンプル=えくぼの意味)を作りましょう。カッコ良さが、ワンランク上がります。

10.ネクタイの長さはベルトが半分隠れるくらい

ネクタイの前側の下端大剣、後ろ側を小剣といいます。大剣のがベルトに半分ほどかかる長さが、カッコいいスーツの着こなしの王道です。短すぎると安い感じ。長すぎると子供が大人の服を着ている感じになってしまいます。

 

「王道」とは言うものの、以上がごく基本的なポイントとなります。
装いがますますカジュアル化している今こそ、基本を押さえていて頂けると「カッコいい大人の魅力」となると思います。

カジュアル化と言う点で、来季のオススメはゼニアはじめヨーロピアンブランドが手がけているジャージー生地。スーツ、パンツ、ジャケットとオールマイティにカッコいい大人のファッションをお楽しみ頂けます。来春2月にはご案内の予定です。
どうぞ、お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

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