スーツ「ドライクリーニング」を考える

スーツ「ドライクリーニング」を考える

スーツ「ドライクリーニング」を考える

早いもので、師走も半ばとなりました。
今年は、年末感があまりありません。何と言いますか…煽られている感があまりない・・・。 
街が「やや静か」だからでしょうか。

さて、年末の大掃除や断捨離の機会に

スーツのクリーニングを考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

スーツのクリーニングと言えば、クリーニング店にお任せ。
クリーニング店といえば、「ドライクリーニング」となりますよね。

今回はスーツのドライクリーニングについて、ご一緒に考えませんか?
ところで、最近「このスーツ、家で洗えますか?」というご質問も時々いただきます。 
家で洗えたらコスパも良く便利だし、スッキリします。

「アンコンストラクテッド(アンコン)のスーツ」で、水洗い可能な素材でしたら、

お約束を守って洗えば大丈夫なのですが、、、

アイロンがけに技術を要しますし、守るべきお約束ごとが結構あるということで、今回はスーツの「ドライクリーニング」に絞ってお話しさせてください。

とは言え、「アンコンストラクテッドって、何?」 とモヤモヤしますよね?

コンストラクト=Construct(構築する) 
アンコンストラクト=Unconstruct(構築していない)


衣服でいうと、アンコンストラクテッド(アンコン)とは、芯やパッドを入れていないお洋服のことです。
なんとなく「裏地のついていないスーツがアンコンストラクテッド(アンコン)?」と考えたくなりますが、

裏地がついていなくても、肩パッドが入っていたり、襟の中には芯が入っています。

ですので、残念ながら多くのスーツが「アンコン」ではないと思って頂いた方が良いでしょう。

ということで、「ウォッシャブルスーツ」という明記のないものは、お家でのお洗濯はできません。

「ウォッシャブルスーツ」と明記されていても、無造作に洗濯機に放り込むのは危険です。

と言いますか、「絶対にやってはイケません」お洋服をダメにします。 

弊社の目指すところ(SDG’sな世界)とも相反してしまいますので、ここは「やらないでください」と強く申し上げたいです。

優しい洗い方を知りたい方は、是非、問い合わせメールやライン公式アカウントにてお問い合わせください。

前置きが長くなりましたが、そろそろスーツのドライクリーニングについて考えましょう。

そして、ウェット・クリーニングと弊社のおすすめしている湿式クリーニングについてもご紹介したいと思います。


OUTLINE


1.  クリーニングの種類

2.  ドライクリーニングについて考える・湿式クリーニングとの違い

3.  クリーニングに出す頻度と普段のお手入れ

4.  クリーニングに出すときの注意

5.  クリーンング後の注意

6.  スーツほか「うっかり」食べこぼし対策



1.  クリーニングの種類

ドライクリーニングを考えるに際し、まずはクリーニングにはどんな種類があるのかを確認しましょう。

①ドライクリーニング

ドライクリーニングとは、水を使わず石油系の溶剤で洗浄し汚れを落とすクリーニング方法です。
ウールやカシミヤなどの衣類をクリーニングする際に用いられ、主に油性の汚れを落とします。

ドライクリーニングの特徴

  • 洗い方    ;石油系溶剤
  • 落ちる汚れ;皮脂、食べ物の油などの油性の汚れ
  • 料金      ;1,000円~2,000円程
  • 期間      ;1日~3日程

ドライクリーニングは食べこぼしなどでうっかり汚してしまった時に、心強いクリーニングです。
しかし、ドライクリーニングでは汗などの水溶性の汚れが落ちにく、洗いすぎると生地を傷めてしまう恐れがあります。

 

②ウェットクリーニング


ウェットクリーニングとは、通常水洗い出来ないものを、高度な技術により色落ちや型崩れさせずに水で洗うクリーニング方法です。
ウールなど家庭では水洗いできないものも水洗いが可能で、主に水溶性の汚れを落とします。

ウェットクリーニングの特徴

  • 洗い方    ;水
  • 落ちる汚れ;汗、ジュースなどの水溶性の汚れ
  • 料金       ;2,000円~4,000円程
  • 期間       ;1週間程

ウェットクリーニングは、気になる汗の臭いなど水溶性の汚れを落としてくれます。肌触りの良い、さっぱりとした仕上がりになります。
しかし、高い技術が必要なため、費用が高く仕上がり納期に時間がかかります。

 

③湿式クリーニング

弊社でご提供しているクリーニングです。

生分解性の高いスチーム状の弱アルカリ性溶剤を使用してクリーニングいたします。

クリーニングを行うのは、全国の神社仏閣の装束や狩衣など特殊な衣装を手がける専門のクリーニング工房です。

下記の手順でスーツのクリーニングを一点一点行います;

  1. 60℃の特殊洗浄液を噴霧し、汚れやシミを柔らかくして浮き上がらせる。
  2. バキュームアイロンで汚れを吸引。
  3. 特殊乾燥機を用いて乾燥を行う。

以下の効果が期待できます;

イヤな薬品臭が残らない

光沢効果(つやだし)

柔軟効果(ソ フト感)

静電気防止効果(着用時の汚れの付着を防ぐ)

脱臭効果(体臭、食物臭などを防ぐ)

仕上げ効果(服地のコンディションを整える)

スーツの延命効果(生地を芯から蘇らせる)

湿式クリーニングの特徴

  • 洗い方    ;弱アルカリ性溶剤の蒸気
  • 落ちる汚れ;汗、ジュースなどの水溶性の汚れ
  • 料金       ;スーツ4,400円(税込)
  • 期間       ;1週間程(シーズンオフ中のお預かりサービス有り)

湿式クリーニングは、弱アルカリ性溶剤の蒸気で気になる汗の臭いなど水溶性の汚れや繊維の奥に潜り込んだ汚れを落としてくれます。蒸気の噴霧と吸引により繊維を一本一本ほぐして洗浄しますので、新品の時の風合いが蘇ります。

 

2.  ドライクリーニングについて考える・湿式クリーニングとの違い

シュウ・カワグチでは、大切なお洋服の最良のコンディションを永続させる為に、「湿式クリーニング」をおすすめしております。私共では、顧客の皆様にひどい油汚れ等の場合を除いて、スーツのドライクリーニングをなさらない様にお願いしております。

高級衣料の代表的な素材であるウールやシルクは動物性の繊維です。平たく言ってしまえば動物の毛であり分泌物であり、その主要成分はタンパク質になります。

ドライクリー ニングで使用される石油系の洗浄液はタンパク質を固くする性質があり、脱脂力が非常に強い為、動物性繊維が本来持つ脂質や保水性に重大なダメージを与えてしまいます。私達はドライクリーニングの問題点をしっかり把握したいと考えております。

 

ドライクリーニングの問題点

ドライ・クリーニングは回数を重ねる毎に、生地表面に付着した汚れを繊維の内部に潜り込ませます。その結果、黒ずみ・黄ばみが生じ、生地の質感も固くなります。脱脂され硬くなった繊維が汚れを奥に閉じ込めてしまうからです。強い脱脂力で生地本来の持ち味(しっとり感・ぬめり感)を損ない、風合いを無くします。カシミヤのコートが年々「暖かくなくなる」と感じられたりしていませんか?生きている天然素材の繊維は潜り込んだ汚れにより生地の目詰まりを起こし、通気性・保水性を失い窒息状態となり寿命を縮めてしまいます。

 

スーツ・高級天然素材のための湿式クリーニング

弊社では、繊維の特質を最大限に引き出し常にベスト・コンディションに整える為の「温式クリーニング」という特別なクリーニングをおすすめしております。クリーニングの手順や特徴は、前項に示した通りです。

 

シュウ・カワグチの考えるクリーニングとお洗濯

 

3.  クリーニングに出す頻度と普段のお手入れ

(クリーニング頻度:通常の場合)

よくお問い合わせを頂くクリーニングに出す頻度。弊社では、1シーズンに1回とお伝えしています。20~30回着たら1回出すという考え方でも良いと思います。
夏場など「毎週出す」と言う方もいらっしゃいますが、出し過ぎは厳禁です。風合いを損ね、型崩れの原因ともなります。普段のお手入れやちょっとした注意で対処しましょう。

(クリーニング頻度:シーズンオフ・長期保存の際)

クリーニングして保管をお願いいたします。
服に皮脂汚れが付いた状態ですと、虫食いの原因となります。

 

(クリーニング頻度:大量に汗をかいてしまった場合・雨に濡れた場合)

スーツの肩や背中・裾まわりなどたグッショリ濡れてしまった場合などは、

タオルドライしたあと

室内乾燥機などで完全に乾かすか、

クリー二ングにお出しください。 

冒頭で申しました通り、スーツ上着は内蔵物で構築されています。表面が乾いたように見えても、内部は(ポケット内なども)湿っている場合があります。湿った状態で放置すると、間違いなくカビが生えます。

 

(普段のお手入れ)

・一着のスーツを着続けるのではなく、できる限り2〜3着を着回しましょう。

・スーツを脱いですぐにクローゼットにしまわない。

・脱いだスーツにブラシをかける(毛玉やテカリ防止・防臭にもなります)
・上着は、厚みのあるハンガーにかける

・ズボンは専用ハンガーに逆さ吊り状態でかける(膝の復元)
・しばらく風を通して、スーツが冷えたら(体温や湿気を発散させたら)クローゼットにしまう

・クローゼット内は、スキスキの状態を保つ
以上です。

  *弊社では、厚み・重量感のあるスーツのシーズンオフ中のお預かりサービスもしております(現状無料です)。

 

4.  クリーニングに出すときの注意

クリーニングに出す際には、必ず事前に以下の点を確認しましょう。

  • スーツの素材の確認
  • スーツ全体のシミやほつれをチェック→発見したらクリーニング店に伝える
  • スーツは上下セットで出す(別々の頻度で出すと上下で色が変わってしまうこともあります)
  • ボタンなど付属物の確認
  • ポケットの中身の確認
  • 仕上がり納期の確認


特に、ポケットの中身には注意が必要です。
モノが入っていると紛失、破損などのトラブルの原因になります。

 

5.  クリーンング後の注意


・必ずビニールから出す

・厚みのあるハンガーに掛けかえる

・間隔を開けてクローゼットにしまう

 *弊社では、厚み・重量感のあるスーツのシーズンオフ中のお預かりサービスもしております(現状無料です)。

 

6.  スーツほか「うっかり」食べこぼし対策

 

普段の生活の中で、シミ・汚れを防げたらいいな…とお考えの方には、

「コーティング」をお勧めしています。

仕立て上がったお洋服だけではなく、お手持ちの礼服、ジャケット、お着物、靴、バッグなど、あらゆるものの風合いを変えずに特殊コーティングします。


①防汚機能 ②防臭機能 ③防カビ機能 ④抗菌機能 ⑤撥水・撥油機能


うっかり食べこぼしやお水を玉のように弾くコーティング。お仕立てやシーズンオフのクリーニングの仕上げにオススメしています。

 

*  *  *

いかがでしたでしょうか?

普段のちょっとしたお手入れとクリーニングをうまく使って、常に清潔を保っていたいですね。

男性も女性も「見られるポイント」は、ダントツで「清潔感」だそうです。

お手入れでわからないことなどは、お気軽にご相談ください。

 

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