スーツのサイズ

スーツのサイズ

【スーツのサイズ】

 猛暑もなんとか落ち着いてくる様子です。そろそろ季節が変わり目を迎えます。
スーツ店でも順次秋冬物コレクションが揃い始めています。

この時期にスーツを新調される方も多いのではないでしょうか?

百貨店などでスーツをお選びになる際、「サイズ表記がよくわからない」というお声をよく聞きます。 
かく言う私も、既成スーツのサイズ表記は分からづらいな〜と思っております。

テーラーとしてはスーツのサイズは「お客様のお身体を測って決定するもの」なので(サイズ表記を使う事がないので)、なじみづらさを感じているのが正直なところです。

既製服を買い求めになる際には、表示サイズを見てご自身に合うものをご判断されることになります。

カジュアル服の様なS/M/Lの分類はとても分かりやすいのですが、スーツのサイズ表記は少々複雑です。
より多くの方がフィット感を得られる様に、細かなサイズ分類による表示となっています。

既成のスーツのサイズは、バスト、ウエスト、身長を元に、
日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)によって「成人男子用衣料のサイズ」が定められています。

私どもでは、姿勢や肉付き、骨格、体型やお客様の普段の動きを把握して採寸しておりますので
このサイズ分類を使用することはないのですが、今日は既製服をお選びになる際のサイズ表記についてご説明してみたいと思います。

 既成のスーツのサイズは、体型区分・身長区分の2種類で表示されています。

 

体型区分は、バストとウエストの寸法差によって区分されます。

SP体

バストとウエストの寸法差が 20cm の人の体型

JY体

バストとウエストの寸法差が 18cm の人の体型

Y体

バストとウエストの寸法差が 16cm の人の体型

YA体

バストとウエストの寸法差が 14cm の人の体型

A体

バストとウエストの寸法差が 12cm の人の体型

AB体

バストとウエストの寸法差が 10cm の人の体型

B体

バストとウエストの寸法差が 8cm の人の体型

BB体

バストとウエストの寸法差が 6cm の人の体型

BE体

バストとウエストの寸法差が 4cm の人の体型

E体

バストとウエストの寸法差がない人の体型

 

 

身長区分は、身長によって分けられています。

記号

2

3

4

5

6

7

8

9

身長

155cm

160cm

165cm

170cm

175cm

180cm

185cm

190cm

 

 

【スーツサイズ表記の落とし穴】

「Y体細身→E体太め」の様な説明が時々見られますが、これはクセものです。

バストとウエストの寸法差のない「E体」の方は、全員太めでしょうか? 
めちゃくちゃ細い方でも、直線体型でバストとウエストの差がない方がいらっしゃいます。
逆に、バストとウエストの寸法差が激しい、胸板が厚く肩の大きなマッチョ体型の方もいらっしゃいます。
そんなこんなで、最近の既製スーツのサイズ区分はS・M・Lサイズまで網羅して極めて詳細になっています。

一方で、細身でもお腹の出ている場合など、一概にS・M・Lで分けるのも限界があります。

【既製服店でどうしたら一番ラクに買うべきスーツを選定できるか?】

採寸してくれる店

標準体型ではない方、バストとウエストの寸法差が微妙なマッチョ系や痩せ型で
様々な条件をクリアしてサイズを選別しなければならない場合には、是非、採寸してもらえるお店を選びましょう。
採寸したサイズに合わせて店員さんにスーツを選んでもらえたら、探しまわるエネルギーと時間が大幅に軽減できます。

 

【準備しておくデータ】

採寸してもらえない場合もありますので、
念のためご自身の以下のデータを準備されておくと良いと思います(採寸して頂く際の予備データにもなります);
 
① 身長
② 体重
③ バスト
④ ウエスト
⑤ ヒップ
⑥ 肩幅

【持ち物】

お気に入りのスーツもしくはジャケット・パンツ

できることでしたら、お気に入りのサイズ感のスーツもしくはジャケット・パンツをご着用になってお買い物に行かれると良いです。季節的に難しい様でしたら、面倒でもお持ち頂けると良いです。サイズタグが付いていれば、それを見てサイズの選定ができます。


テーラーの立場からしますと、たとえ既製服のお店であっても採寸してもらえるお店を是非お選び頂きたいと思います。スーツのサイズを選定した後のお直しの相談もスムーズですし、アフターケアなども手厚いはずです。是非、息の長いおつきあいのできる洋服屋さんを見つけて頂きたいと思います。


【スーツの醍醐味】

既製服では、完成されたスーツのサイズとご自身のサイズをいかに整合させるかがポイントです。

前項の「JIS規格のサイズ表記」の説明をご参考にして頂けましたら、幸いです。

サイズの合う服を着る

これは、お仕事や信頼関係を育むためにも当然の基本です。
その上で、

「洋服は人間が着る物である」
どの様な骨格・肉体・姿勢でどの様にカラダを動かすか
この概念に基づいて仕立てられた服は、「やじろべえ」の様に頚椎の付け根・肩に乗って均衡をとり、バランスよく全身を包んでストレス0の着心地を体現します。


ご試着の際、このストレス0の着心地を判断基準にされてみてください。
弊社のお客様は、よく「着ていないみたいに軽い」と表現されます。

カッコいい
カッコよく見える

サイズがぴったり

ここは当たり前の基準です。
その先にある「パフォーマンスの上がる服」で、装いの醍醐味を味わって頂きたいと思っています。
ストレス0の着心地でご自身を整え、相手の方への敬意の現れとしての表現ができるのが、スーツです。

少し飛躍しますが…
昔から、軍師(風水師・星読み師・陰陽師)・床屋・仕立屋は、「時代のリーダーがそばに置くべき3人」と言われていたそうです。
「ビジネス戦略」と言われる様に、ビジネスはよく「いくさ」にたとえられています。

現代のビジネスマンにも、この3人は大切な要素だと思います。
構想を自由に練って戦略を創造する時間は、今も昔も非常に重要なものです。
問わず語りのブレーンストーミングの相手として、床屋と仕立屋がそこに居ると考えられます。

私達も、その様にありたいと願っています。

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