「スーツの印象設計」をシーンと色で考える

「スーツの印象設計」をシーンと色で考える

スーツは、私たちにとって日々を充実させるための最も身近なツールです。
説明抜きで、自分らしさ、臨む場面・お会いする相手の方への敬意を現すことを可能にしてくれます。
 
スーツは色で印象がガラッと変わります。
シーンに合わせた表現、お相手に合わせた表現で、その時々の最善の結果を引き出せたら、スーツへの愛着も一段と増します。

 

「表現としてのスーツ」を色でどの様に印象設計するか。シーン別・色別にご紹介して参りたいと思います。これからのスーツ選びのご参考にして頂けましたら、幸いです。

1項では、シーン別にお選び頂くと良いお色をご紹介しています。
何故その色が好ましいのか、2項の「色別」のところでご覧頂けましたら(答え合わせして頂けましら)嬉しいです。
 

シーン別「スーツの色選び」

色別「スーツの印象設計」

 

 

シーン別「スーツの色選び」

1-1 入社式

人生の節目となる、公式の式典である入社式。門出の志を現す場に相応しい色を選ぶのが、マナーです。
キリッとして落ち着いた印象設計をしたいですね。
 
濃紺や濃いグレーがおすすめです。
伝統の中にこそ、個性が輝きます。
 
紺やグレーの持つ色の意味については、次項を参考になさってください。
色の持つ意味を込めて、門出の気持ちを表すことができるのではないかと思います。
 
なお、注意したいのはワイシャツです。
式典ですので、ボタンダウンは絶対NGです。
 
ポケットチーフについては、「なし」で初々しい印象をつくられると好ましいと思います。

 

1-2 結婚式・披露宴

主役の新郎新婦を引き立てる印象設計をしましょう。
新郎の衣装とかぶってしまうので、白・明るい色はNGです。
 
濃紺、濃いグレー、ブラックなどのダークスーツに白いシャツが、好印象です。
当然のことながら、この場もボタンダウンシャツは絶対NGです。
ネクタイは、明るめのお色も大丈夫です。
ボウタイやシルバーのネクタイなども華やかな演出が出来ます。
 
ネクタイとのバランスの良いポケットチーフでのお洒落もおすすめです。
 
 

1-3 葬祭

ご葬儀では、黒の礼服をご着用ください。
濃紺や濃いグレーといったダークスーツなら良いかな…と思いがちですが、ご葬儀当日のダークスーツは避けましょう。
お通夜に駆けつける際は、濃紺・濃いグレーのダークスーツでも問題ありません。
三回忌以降の法事に参列者として出席する場合も、ダークスーツで許容されます。
 
いずれの場合も、ワイシャツは白無地・ネクタイは光沢のない黒無地です。
もちろん、この場もボタンダウンシャツは絶対NGです。
 
 
 
 

色別「スーツの印象設計」

スーツの色は、大別して以下の「4+1」となります。
もちろん年どしの流行で、他の色もありますが、ここでは王道色として5色についてお伝えして参りたいと思います。
 
①紺
②グレー
③黒
④茶
+
⑤ベージュ
 
 

2-1 

紺色は勝利の色
紺青の雲ひとつない晴れた空を連想させる紺色。
隠すもの(雲)がないという表現となり、「真実」「純粋さ」「知の光」を意味するそうです。
 
また、紋章にも多く用いられ、忠誠、信望、謙譲を象徴しています。
 
海・夜空・宇宙を連想する色で、静かで落ち着いた「汚れなき色」を表していると言われます。
 
冷たい・涼しい印象から、冷静、悲しみなどの意味もありますが、
澄んだ様子から、「広大」「誠実」「自由」と言った印象を与える色です。
 
気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があります。 
「純粋で誠実な人柄を表現出来る色」であり、紺色のスーツを着用することで気持ちが落ち着き、集中力が高まる状態をつくることが出来ます。
 
〈写真提供;SCABAL〉
 
 

2-2  グレー

日本の伝統色としては、鼠(ねずみ)色と言われるグレー。
江戸時代の「贅沢禁止令」によって派手な色の着物が禁止された時期に、
職人が「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と言うダークカラーのバリエーションを創作し、
流行色となったそうです。
 
火事の多かった江戸時代。「灰色」という言葉が嫌われ「ねずみ色」と表現されました。
 
際立った主張をしない中間色であり、気持ちを落ち着かせたり、シンプルで洗練されたイメージを与えたりするなどの効果があります。
 
「相手の方を立てる」スーツの印象設計には、最適な色です。
 
〈写真提供;SCABAL〉
 
 

2-3 

黒は、「暗黒」という言葉に表される様に、暗闇や孤独、恐怖などを連想させる色です。
一方で、引き締まった色合いには、シック、高級、重厚感などのイメージがあります。
色としての効果も、「気持ちを引き締める」「不安感を与える」など、捉え方によって両極に別れます。
 
中世ヨーロッパでは、黒は「荘厳さと権威の象徴」であり、この理由から裁判官や治安判事によって今も一般に着用されています。 
 
黒は、新石器時代の洞窟絵画に使用された最初の色の1つでした。
14世紀には、王族、聖職者、裁判官、政府関係者の多くが 黒衣を纏っていました。
 
「威厳や権威を表現できる色」ですが、
欧米ではタキシード・燕尾服・モーニング以外の黒スーツ=葬儀と言う認識となるそうですので、海外出張の際はお気をつけください。
 
〈写真提供;SCABAL〉
 

2-4 茶色 

平安時代に中国からもたらされたお茶。
室町時代には染料として使われるようになり、その仕上がりから「茶色」という色名が生まれたそうです。
 
鼠色と同じく、江戸時代の贅沢禁止令によって様々な色のバリエーションが創作されました。
 
ここまでは日本での話ですが、茶色は、洋の東西を問わず土や木などを連想させる「自然」「温もり」「落ち着き」などを表現出来る色です。
暗い印象はあまりなく、温かみの感じられる色です。 
 
スーツと言う、かしこまった装いにおいても、「緊張を和らげる」「温もりを表現する」「信頼感を高める」と言った印象設計ができます。
 
〈写真提供;SCABAL〉
 

2-5ベージュ

ベージュという言葉は、ウールの色の表現として、19世紀半ばにフランスで使われ始めたそうですが…
そのはるか昔フランスの先史時代に描かれたラスコー洞窟壁画では、ベージュの濃淡が使われていたというのですから、驚きです。
 
Wikipediaより
 
以来カラーバリエーションも広がり、色名も沢山生まれました。
クリーム
バフ
サンドベージュ
エクリュ
生成(きなり)
カーキ
フレンチベージュ
モードベージュ
等などです。
 
ベージュは、見ているだけで心が落ち着き、穏やかな気持ちになれるカラーです。
控えめながらも素朴な感じを演出し、飾り気のない自然な雰囲気の印象設計が出来ます。
 
〈写真提供;SCABAL〉
 
この点が好まれたのか、この夏立て続けに議員秘書の方々からベージュのスーツをご用命頂いております。
 
 
お仕事や、ご着用のシーンに合わせたスーツのお色の御相談など、遠慮なくお申し付けください。
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