【スーツのニオイ対策】「夏場のスーツ臭くないか?」 気になる方へ

【スーツのニオイ対策】「夏場のスーツ臭くないか?」 気になる方へ

これからの季節に気になるスーツのニオイ

気温が上がり、夏のようなお天気が続いています。
今年は、クールビズの季節が前倒しでやってきそうですね。

 

クールビズの着こなしについては先月のブログをご参考にして頂けますと嬉しいですが、
ご職業によって夏場もスーツやジャケットを着用される方も多くいらっしゃることと思います。

スーツは、仕事に対する尊重や責任感、顧客様や取引先様はじめお相手の方々へ敬意を表すとともに、社会的信頼性を高めるためにも欠かせないアイテムです。

とは言え、汗ばむ季節に気になるのが「ニオイ」です。

 

ビジネスにおいてもプライベートにおいても、求められる「清潔感」

ニオイ対策は、重要なポイントです。
今月は、スーツのニオイ対策についてお話しして参りたいと思います。

1. スーツのニオイの原因
2. スーツが臭ってしまった時の対処法
3. スーツが臭わないように前もって行うべき対策
4. 付記:お洗濯の知恵
  ⑴ 中性洗剤と弱アルカリ性洗剤
    ⑵ 洗剤成分の性質について
  ⑶ 蛍光漂白剤について
  ⑷ ドライクリーニングのメリット・デメリット
  ⑸ ウエットクリーニングのメリット・デメリット
    ⑹ 湿式クリーニングのメリット・デメリット
5. まとめ

 

1. スーツのニオイの原因

スーツのニオイの主な原因は以下の3つです;
・汗
・皮脂
・菌や微生物

汗や皮脂が分解されると、脂肪酸やアンモニア、有機酸などのニオイ成分が発生します。
これらの成分がさらに菌や微生物によって分解され、より強い臭いを生じます。

・脂肪酸=酸っぱい臭い(発汗によって増加・湿度が高いとより強く発生する)
・アンモニア=強いアンモニア臭(汗が長時間体表に残っている時などタンパク質を分解する時に生じる)
・有機酸=酸っぱい・腐敗臭(常在菌が、汗を分解する時に生じる)

さらに、タバコの煙加齢臭、焼肉など食べ物のニオイ、周囲の空気中の汚染物質も、スーツのニオイの原因となることがあります。

 

 

2. スーツが臭ってしまった時の対処法

代表的な対処法は以下の5つです;


(自分でできる対処法)
(1) エアリング
  お家に帰ったら、スーツを風通しの良い場所に吊るして自然乾燥させます。風通しの良い場所に吊るしておくことで、汗や湿気が飛び去り、ニオイが軽減されます。
(2) スチームアイロン
  スチームアイロンでスーツを軽くアイロンをかけることで、ニオイを軽減することができます。アイロンをかけることで、ニオイの元となる細菌を死滅させ、スーツを清潔に保ちます。
(3) 消臭スプレー
  消臭スプレーを使って、スーツに付着したニオイを除去することができます。ただし、スプレーを使いすぎると、スーツに残留物が残ってしまうため、適量を守って使用することが大切です。
(4) 固く絞った蒸しタオルで裏地を拭く
  ひどく汗をかいた場合など、そのままにしておくと塩をふいて白浮きしたり、さらにはカビが生えたりしてしまうことがあります。(1)のエアリングの前に、固く絞った熱い蒸しタオルでスーツの裏地部分を拭きましょう。その後、速やかにクリーニングに出すことをおすすめします。
 
(プロに任せる対処法)
(5) クリーニング店に持ち込む
  ひどく汗をかいた時やスーツが臭ってしまった場合には、プロのクリーニング店に持ち込んでクリーニングをすることをおすすめします。クリーニングは、専用の洗剤や機械を使って、汚れやニオイを除去する方法です。スーツの生地に合わせた適切な洗浄方法が行われるため、スーツにダメージを与える心配もありません。クリーニングにつきましては、「4. 付記:お洗濯の知恵」をご参考になさってください。
 

周りの方々へのエチケットとして、ひいてはご自身の信頼度を高めるために、大切なスーツを清潔に保つ・せっかく誂えたスーツの寿命を伸ばすには、ちょっとしたひと手間が大切です。

 

 

3. スーツが臭わないように前もって行うべき対策

前もっての対策も5つお伝えしたいと思います。

(自分でできる対策)
(1)アイロンがけ
面倒ですが、スーツにはアイロンをかけるようにしましょう。シワやたるみがある
と、スーツ内の熱の発散・汗の蒸散を妨げスーツのニオイの原因になります。アイロンをかけることで、シワやたるみを取り除これらを事前に除くことができます。また、アイロンの熱処理により、スーツに潜んだ雑菌を減らしタンパク質や脂肪・汗の分解によるニオイの発生を防ぎます。
注意点は、アイロンのかけ方です。表面に直にアイロンをかけると、テカリや生地の劣化の原因になります。
・当て布を使用する or 裏返しにアイロンがけする
・高温に設定しない
上記を守ってアイロンがけしてくださいね。
(2)身体を清潔に保つ
① 入浴・シャワー
「1.スーツのニオイの原因」にあげた脂肪酸など皮膚上に常在する有機化合物を極力
減らすために、入浴やシャワーで身体を清潔に保ちましょう。
・脇の下
・首回り
・鼠蹊部
・足指の間
・肘、膝の内側
などがポイントです。
②  汗をかかない工夫/汗をこまめに拭く
〈汗をかかない工夫〉
・ノータイで過ごす
・日傘を活用する
・扇子や冷風扇を持ち歩く
・保冷剤を利用する
〈汗をこまめに拭く〉
菌や微生物に汗が分解されてニオイが発生する前に、汗を拭きましょう。
ハンカチやミニタオル、汗拭きシートを活用されることをお薦めします。
(3) インナー、靴下の選択
素材や加工法・洗濯方法・サイズ感などに留意しながらインナーや靴下を選ぶことも、ニオイ対策に大変有効です。
①  吸湿性の高い素材を選ぶ:
吸湿性が高い素材は、汗を吸収し蒸発させることで、汗に含まれる臭いの元を軽減する効果があります。
②  抗菌・防臭加工がされているものを選ぶ:
抗菌・防臭加工がされているインナーは、雑菌の繁殖を防ぎ、臭いの元を減少させる効果があります。
③  適切なサイズを選ぶ:
適切なサイズのインナーを選ぶことで、体に密着している場合でも空気の循環が良くなり、汗の蒸発が促進されます。これにより、臭いの元となる汗や湿気が溜まることを防ぐことができます。
ご参考まで、
弊社では光電子®️(体温域で効率よく遠赤外線を輻射する繊維)、テクノファイン®️(汗を描いてもサラサラ高い吸汗性を持つハイテク素材)など、衣服内を不快なベタつきやムレのないドライで快適な状態に保ち、ニオイを発生させにくい機能性インナー・靴下をご用意しています。
サロンでご試着できますので、お気軽にお問い合わせください。
 
(4) インナーやシャツ類の洗濯時の注意
インナーやシャツ類は直接肌に触れるため、清潔さを保つことが重要です。適切にお洗濯
することで、汗や雑菌が蓄積されるのを防ぎ、臭いの発生を抑えることができます。
見逃しがちなのが、Yシャツの襟・袖口の皮脂汚れです。皮脂汚れ落としにつきましては、
次項「4. お洗濯の知恵」でもう少し詳しく見てまいります。
 
(プロに任せる対処法)
(5) 定期的クリーニング
スーツは定期的にクリーニングすることで、汗や皮脂などの汚れを取り除き、臭いの原因と
なる菌の繁殖を防ぐことができます。
ただし、ウール製品は必要以上にクリーニングすると繊維の劣化に繋がります。
獣毛や絹などは元々自浄力がありますので、頻繁なクリーニングはお薦めしていませんが、こちらも次項「4. お洗濯の知恵(4)〜(6)」で詳しくお伝えいたします。
 

 

4. 付記:お洗濯の知恵

  お洗濯は、ニオイ対策としてなくてはならないものです。
前項で述べましたYシャツの襟・袖口の皮脂汚れ落としや、クリーニングの種類についてご参考にして頂けましたら幸いです。
 
⑴  中性洗剤と弱アルカリ性洗剤
 
「食べ物のシミ・襟/袖口の皮脂汚れには、専用の弱アルカリ性洗剤より台所用中性洗剤」
 
お洋服の部分洗い専用の弱アルカリ性洗剤が市販されていますが、使い勝手も意外と面倒で完璧にヨゴレを落とすことができません。
ところが、台所用中性洗剤ですと使い勝手が非常にラクで頑固なヨゴレも数回の使用でほぼ完全に落ちます。
そこで、念の為それぞれの働きや成分について調べてみました。
中性洗剤と弱アルカリ性洗剤は、主に野菜・食器洗い、洗濯や掃除などの目的で使用される洗剤です。
両者の違いは、主にpH値にあります。
 
・中性洗剤;
pH値が7に近く、酸性やアルカリ性に偏りがない
衣類や皮革製品、食器などの洗浄に適しており、汚れを落としつつ素材を傷めにくいという特徴があります。
 
・弱アルカリ性洗剤;
pH値が中性よりやや高い。
油汚れやタンパク質汚れなど、中性洗剤では落としにくい汚れに対して効果的であり、また、漂白剤などと組み合わせることで、より効果的な洗浄ができる場合があります。
 
ただし、弱アルカリ性洗剤は、素材によっては傷めることがあるとのことで、注意が必要です。中性洗剤よりも刺激性がある製品もあり、手袋やマスクなどを使用することが望ましい場合もあるそうです。
 
 
⑵  洗剤成分の性質について
昨今の台所用洗剤には色々な機能の付加された製品がたくさんありますが、
Yシャツ等についた「食べ物のシミ・襟/袖口の皮脂汚れ」を落とす目的であれば、シンプルなものが良いと考えます。

なぜ専用洗剤より台所用中性洗剤の方が落ちるのか…疑問を解く一助になればと、、、
シンプルな台所用中性洗剤に含まれていて、弱アルカリ性専用洗剤に含まれていない以下の二つの成分について、メリット・デメリットを調べてみました;
 
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
中性洗剤の主要な洗浄剤成分の1つです。
【メリット・効果】
①良好な洗浄力:油汚れやタンパク質汚れなどの一般的な汚れを効果的に取り除く良好な洗浄力を持っています。
②中性性:中性洗剤の主要成分であり、酸性またはアルカリ性の洗剤よりも皮膚や衣服に優しいとされています。
③生分解性:生分解性が高いため、環境への負荷が少ないとされています。
【デメリット】
①一部の人にとって刺激性がある:一部の人にとって刺激性があるため、敏感肌の人やアレルギーを持つ人は注意が必要です。
②環境負荷:生分解性が高いとはいえ、水中の微生物によって分解される際に、一部の有害な物質を生成することがあります。そのため、環境負荷が懸念されることがあります。
 
以上のように、中性洗剤にとって重要な洗浄剤成分であり、良好な洗浄力や中性性、生分解性がある一方で、一部の人にとって刺激性があることや、環境負荷が懸念されることがあることに留意する必要があります。
 
・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
中性洗剤に広く使用される界面活性剤の一種です。
【メリット・効果】
①良好な洗浄力:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、優れた洗浄力を持つ界面活性剤の一種です。汚れや油汚れを取り除く力があります。
②泡立ちが良い:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、泡立ちがよく、簡単に泡立てることができます。これにより、より多くの表面積をカバーすることができます。
③洗浄後のすすぎが容易:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、洗浄後にすすぎが簡単で、残留物が残りにくいため、衣類や食器などに使用される洗剤に適しています。
④柔軟剤や漂白剤との相性が良い:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、柔軟剤や漂白剤との相性が良いため、洗濯や掃除の際に併用することができます。
【デメリット】
① 環境への影響:水生生物に有害であり、環境への影響が指摘されています。
② 皮膚への刺激:一部の人には皮膚刺激を引き起こす可能性があります。
 
使用上の注意:過剰な使用や誤った使用法は、人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、使用上の注意が必要です。
 
 
⑶  蛍光漂白剤について
弱アルカリ性の洗濯用洗剤に含まれている衣類の汚れを落とすための蛍光漂白剤について、触れておきたいと思います。
Yシャツなど白い衣類の黄ばみやくすみを取り除くことができるので、いざという時に頼りになります。
 
黄ばみを取り除く働きは、蛍光物質によるものです。
蛍光物質によって、付着している汚れを紫外線の反射で見えなくしています。つまり、実際には黄ばみを取ってはいないのだそうです。
 
蛍光漂白剤にはデメリットもあります。蛍光物質に対して皮膚炎などのアレルギー反応を起こすことがあります。
また、蛍光漂白剤は環境にも影響を与えます。
排水処理場で分解されず、河川や海洋に流れ込むことで環境汚染の原因になることがあります。
 
そのため、環境にやさしい洗剤や、蛍光漂白剤の代替として、酸素系漂白剤やパーカル酸系漂白剤が使用されることもあります。
これらは、蛍光漂白剤と比べて、環境にやさしいとされています。
 
 
⑷  ドライクリーニングのメリット・デメリット
汗や皮脂などの汚れを取り除き、臭いの原因となる菌の繁殖を防ぐクリーニングの代表格ドライクリーニングについて見てみましょう。
ドライクリーニングは、水洗いができない衣服や布製品をクリーニングするための方法です。
【メリット】
①水に弱い素材や色落ちしやすい素材でもクリーニングが可能。
②衣服に負荷をかけずに汚れを落とすことができる。
③シミや汚れを落とすために、強い化学薬品を使うことができるため、水洗いでは落としにくい頑固な汚れも落とせる。
④安価である。
 
【デメリット】
①洗浄液に化学薬品を使用するため、環境への負荷が大きく、廃棄物処理にも問題があ る。
②クリーニングにかかる時間が、水洗いに比べて長くかかる。
③一部の衣料品についてはドライクリーニングが不可能である。
④洗浄液によっては、素材によっては変色や変形を引き起こす可能性がある。
⑤洗浄液に残留物が残ることがあるため、アレルギーを引き起こすことがある。
⑥繊維を硬くし、汚れを生地の内部に残してしまう。
⑦繊維を硬くするため、生地の風合いが損なわれる。
 
 
(5) ウエットクリーニングのメリット・デメリット
ウェットクリーニングは、水と専用のクリーニング剤を使用して、水洗い不可能な衣類や汚れのひどい衣類を洗浄する方法です。以下に、ウェットクリーニングのメリットや効果、デメリットをいくつか挙げてみます。
【メリット】
①汚れやシミを効果的に落とすことができる。
②ドライクリーニングに比べて柔らかく仕上がるため、衣服の風合いや肌触りが良くなる。
③繊維への負担が少なく、衣服の劣化が抑えられる。
④細菌やウイルス、アレルゲンなどの病原体を除去することができるため、衛生面でも優れている。
【デメリット】
①水を使用するため、衣服によっては縮みや色落ち、色移りする可能性がある。
②水に弱い素材や装飾品がついている衣服、特殊な仕上げが施された衣服など、ウェットクリーニングに適さない衣服もある。
③洗剤や水が充分にすすぎ切れない場合があるため、アレルゲンや化学物質が残る可能性がある。
④ドライクリーニングに比べ、価格が高い。
 
 
⑹ 湿式クリーニングのメリット・デメリット
弊社では、大切なオーダー服に「湿式クリーニング」を採用しております。
 
【メリット】
①一点一点蒸気で個別洗浄するので、汚れ移り・ニオイ移りがない。
②付属の装飾品などを傷めることがない(神社仏閣の装束や着ぐるみなどの洗浄も可能)。
③ウールや絹などの繊維を負担なく洗浄し、風合いや艶を蘇らせることができる。
④高温の蒸気で洗浄するため、衛生面で優れている。
【デメリット】
①ひどい油汚れは落とせない。
②薬品のシミは落とせない場合がある。
③ドライクリーニングに比べ、価格が高い。
 
 
 
5. まとめ
 
スーツのニオイの主な原因は以下の3つでした;
・汗
・皮脂
・菌や微生物

これらに対処するには;
・臭ってしまった時のレスキュー
・臭わないための下準備
が必要です。

下準備は;
スーツそのものだけでなく
・インナーや靴下の機能や素材
・身体の清潔
・お洗濯
など、日頃の知恵と気遣いでいかようにもなります。
ご質問などがございましたら、いつでもお申し付けください。
ちょっとしたひと手間で、ビジネスもプライベートも快適になります。
 
どうぞ、気持ち良い夏をお過ごしください。
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